相続手続きをスムーズにする「法定相続情報証明制度」の解説
相続に関して、みなさんはどういった準備をしているでしょうか?両親が元気なのでまだ大丈夫、自分には関係ない、こういった認識が現実なのではないかと思います。
相続は何かとトラブルになることも多いですが、事前準備をしていることで防げる問題でもあります。
今回は「法定相続情報証明制度」について、現役の行政書士が解説します。
また、相続と関連性のある遺言書についても解説しています。こちらもご参考ください。
相続発生後の手続き
相続が発生すると、相続人は様々な手続きをおこなう必要があります。
通常、相続人を調査し、遺産分割協議書を作成します。その後、相続財産の名義変更を進めます。
相続財産の名義変更
相続財産の名義変更には、以下のような手続きがあります。
名義変更手続きの例
- 不動産の所有権移転
- 金融機関の預貯金の引き出し
- 保険会社での保険金受取
- 陸運局での車の名義変更
- など
これらの手続きには、遺産分割協議書や相続人調査で集めた法定相続人を証明する戸籍謄本が必要です。
通常、被相続人の出生から死亡までの戸籍謄本が求められ、兄弟姉妹が相続する場合は被相続人の親の出生から死亡までの戸籍謄本も必要になります。
法定相続情報証明制度の概要
相続手続きには複数の戸籍謄本が必要になることが多く、提出先ごとに複数セットを用意するとなると手間と費用がかかります。
この煩雑さを解消するために、2017年から「法定相続情報証明制度」が導入されました。この制度では、以下の書類を法務局に提出します。
法定相続情報証明制度に必要な書類
- 被相続人が生まれてから亡くなるまでの戸籍謄本
- 上記に基づき作成した法定相続情報一覧図
法務局の登記官がこの一覧図の内容を確認し、証明文付きの法定相続情報一覧図の写しを交付します。
(※法定相続情報一覧図は法務局が作成してくれるというわけではなく、あくまで申出者が作成して提出した一覧図を法務局がチェックして承認するというものであることに注意してください。)
この一覧図は、相続登記だけでなく相続に関する様々な手続きに使用することができます。相続人は戸籍関係の書類の束を各窓口に提出せずに済み、手続きの担当窓口は内容を精査する負担が軽減されるなど、双方に大きなメリットがあります。
原本は法務局で5年間保管され、この間であれば証明書となる写しは何度でも無料で発行してもらえます。
また、2020年10月から、各種年金等手続においても法定相続情報一覧図の写しを使用することができるようになりました。
法定相続情報一覧図(見本)
詳しくは法務局HPをご覧ください。
gfc山口行政書士事務所では、相続人の調査、法定相続情報一覧図の作成を含む相続に関する相談を承っております。
みなさんの相続手続きを円滑に進めるために、ぜひ当事務所にお任せください!